中岳分岐までは緩い下り坂を歩く。

   薄日が差してきて暖かくなってきた。間宮
  岳からこの間もクモマユキノシタやチシマク
  モマグサなどが見られるが、何といってもた
  くさん咲いているのがイワギキョウである。

   年配の二人組と前になったり後になったり
  ここまで歩いてきたが、彼らは黒岳へ行くと
  いう。

   反対方向から出会ったのは4パーティーほ
  どだった。
  イワギキョウ
     中岳分岐から中岳温泉へ下る。

   たつさんはここから先の道は初めて通る。
  初めて歩くところは何となく楽しみだ。

   尾根上の道は、ほぼ一定の斜度で下ってお
  り、両側が沢となっている。特に道の右側の
  沢にはチングルマなどが見える。その向こう
  側に比布岳と安足間岳が形よくそびえている。
  ここもなかなかの景色だ。

   タカネトウウチソウやマルバシモツケが見
  られた。
    タカネトウウチソウ
       ヘアピンカーブをターンして下ると、眼下
    に中岳温泉が見えた。

     何人かが足湯を楽しんでいる。

     温泉は沢にある大きな岩の下から噴き出し
    ていた。吹き出し口の周りは硫黄で黄色くな
    っている。

     石や木で囲いが作られ、足首よりちょっと
    上まで浸かれるいい按配に作られている。

     浸かっていたガイドらしき人が、2か所の
    足湯のうち上は高温、下は低温になっている
    と説明してくれた。
  マルバシモツケ  
       足湯に浸かりながら、コーヒーを沸かし、
    行動食を口にした。

     しばらく休んでここを出発する。

     中岳温泉のすぐ下の沢には、エゾノリュウ
    キンカがたくさん咲いていた。Sさんは北海
    道に来てからリュウキンカが見たいと言って
    いたので、ようやく出会えた花だった。何で
    も、山の花を覚え始めた当初に教えてもらっ
    たので懐かしいということだった。
  中岳温泉の足湯
 
  エゾノリュウキンカ バイケイソウ
     バイケイソウも咲いており、またチングル
  マの綿毛もたくさんあった。

   ここから裾合平分岐にかけてはチングルマ
  だらけといってもいいかもしれない。おそら
  く7月上旬はすごい光景が見られると想像す
  る。

   現に、この時期でも山入端にかけてチング
  ルマの大群落だ。
    チングルマの綿毛
   
  裾合平のチングルマの群落
     裾合平は雪田性植物の宝庫だ。チングルマ
  に加えてミヤマリンドウ、エゾコザクラ、ア
  オノツガザクラ、エゾツガザクラ、ヨツバシ
  オガマ、ハクサンボウフウ、バイケイソウな
  ど。

   ただ、エゾノハクサンイチゲを今回一度も
  見なかった。
  ミヤマリンドウ
 
  エゾコザクラ アオノツガザクラ
     小さな池塘があって、ワタスゲがたくさん
  あった。

   気持ちのよい草原の木道を歩く。たまに沢
  を横切ったり、灌木の日蔭があったり、山裾
  をトラバースしたり、また木道に出るなどア
  ップダウンはあるものの気分良く歩ける。

   姿見の方面から来たのだろう、親子連れが
  お昼を食べていた。
    ワタスゲ
 
  裾合平を行く
     裾合分岐まではササ原もほとんどなかった
  が、そこを過ぎるとササが結構繁茂していた。
  ササは草原を乾燥化させたり、繁殖の過程で
  特に多年草の高山植物を減少させてしまう。
  またチングルマなどの木本でも矮小なものは
  生育を妨げられてしまう。厄介な植物だが、
  国立公園なので勝手に刈るわけにもいかない。
  何とかならないものだろうか?

   姿見近くになって、エゾオヤマリンドウの
  大きな群落に出合った。これから咲くところ
  であるが、8月上旬なのでこれも早い開花だ。
  エゾオヤマリンドウ
 
  鏡沼越しの旭岳
 

 


     朝のうちは天気もよくなく結構寒かったが、9時ころからは晴れてきた。天気もよく気分も
    よく歩いたせいか、3時ころに姿見に着く想定を2時間近くも上回って着いた。

     特に中岳温泉から裾合平はとても気持ち良く歩ける道だった。最後は旭岳が鏡沼に写り、わ
    れわれを送ってくれた。


   姿見駅 6:15  姿見の池 6:37  七合目 7:25  旭岳 8:20

   間宮分岐 9:40  中岳温泉 10:39  裾合分岐 11:40  姿見 13:09


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