コルのすぐ下にはオオギボウシが見られた。

   ギボウシ類は多くが湿原に見られるが、雪
  が遅くまであって湿っているとはいえ、こん
  なところで見られるとは思わなかった。

   ほどなくまた雪渓が現れ、冷たい水が流れ
  てくる。白高地という場所だ。

   ここには雪解け直後に咲くリュウキンカも
  見られた。
    オオギボウシ
       前方右手の林の中に小さく蓮華温泉ロッジ
    の赤い屋根が見える。「あそこまで行くの?」
    との声が上がる。

     そう、一歩一歩足を前に踏み出せばそのう
    ちあそこまで辿りつけるさ。

     このあたりから小さな流れを2つ3つ渡り
    降りる。明るい沢筋だ。

     アオノツガザクラやツガザクラ、オオカラ
    マツ、イワイチョウが見られ、ヒメイワショ
    ウブが顔を出していた。
  リュウキンカ
 
  アオノツガザクラ ツガザクラ
 
  イワイチョウ ヒメイワショウブ
     オタカラコウが現れる。昨日も雪倉岳の鞍
  部で見られたが、五輪山からの尾根に近づく
  あたりで見られた。

   そして小沢の流れに沿って進むと、岩の上
  にツクシが出ていた。何と田んぼの畔などに
  春一番にでるツクシがこんなところに現れた。

   ヒオウギアヤメの小群落がある。Nさんが、
  「これは教えてくれなくてもわかるよ。アヤ
  メだ。」

   ミズバショウもかなり咲いている。昨日も
  一昨日も葉が50センチ以上にもなり当然花
  はつけていないミズバショウを見ていたが、
  ここではまだ旬。
    オタカラコウ
 
  ツクシ ヒオウギアヤメ
       樹林帯に入って、五輪の森という標識のと
    ころで休憩。日差しが強く、高度も下がって
    きているので暑く感じる。

     なかなか休憩に適したところがないが、蓮
    華温泉からの人もまだ来ないし、道をふさが
    ないようにして休む。

     この樹林帯にはゴゼンタチバナやマイヅル
    ソウ、ズダヤクシュ、ミヤマツボスミレなど
    初夏の花々が咲いている。

     昨日登った雪倉岳がきれいに見える。
  ミズバショウ
       この樹林帯の小沢の近くで、オオサクラソ
    ウが数株あった。草むらにもう終わりかけの
    状態であったが。

     林を抜けるあたりで、蓮華温泉から登って
    きた単独行の男性にあった。「花園三角点は
    近いですか?」と聞くと、「まだまだ先です
    ね。でも500mほど行ったところにおいし
    い湧水がありますよ。」と教えてくれた。

     あーちゃんは「そんなに歩くなら行かない
    わ。」と言っていたが、たつさんは水も乏し
    くなってきたので行くつもりにはなっている。
  雪倉岳  
       視界が開けて草原になってきた。

     Sさんが、「これは何だ? 初めて見る花
    だね。」と言っていた。たつさんは最後尾か
    ら行くので、前方に薄い黄色の細かい花の塊
    しか見えない。近づいて、「多分カワラマツ
    バじゃないかな。」と答えたが、カワラマツ
    バは平地に咲くのでこんな山の中にはないだ
    ろうと思っていた。

     でも帰って調べたら、山にも咲く花だと分
    かった。

     そして今度は、ワタスゲのたくさん咲くと
    ころに出た。ワタスゲの群落は今回初めて見
    る。
  オオサクラソウ
 
  キバナノカワラマツバ ワタスゲ
      さらに前方が開けてきて、木道が見えてく
  る。

   オニアザミやハクサンフウロが咲き、ミヤ
  マアキノキリンソウもところどころに咲いて
  いる。

   タカネニガナやシロバナニガナもたくさん
  あり、シロウマアサツキ、エゾシオガマ、そ
  してハクサンタイゲキも見られた。
    五輪高原の出口付近
 
  シロウマアサツキ  エゾシオガマ
       湿地帯の木道の近くに休憩スポットが現れ、
    蓮華温泉からの人たちが休憩していた。すぐ
    20mほどのところに水場があり、冷たい湧
    水が湧き出ていた。

     すごく冷たくて、ほんとに美味い!!

     この地点にはムシトリスミレやダイモンジ
    ソウ、そしてタテヤマリンドウが見られた。

     水を補給して歩くとしばらくして花園三角
    点があった。そうか! さっきの若者は水場
    と花園三角点の距離を500mと言っていた
    のかぁ。てっきり道から水場まで500mと
    言ったんだと思っていた!
   ハクサンタイゲキ
 
  ムシトリスミレ タテヤマリンドウ
     この辺りからは木道だ。今度はキンコウカ
  が見られるようになった。さらに下方にはキ
  ンコウカの群落があり見事だった。

   木道の周囲のササ狩りをしてくれている人
  がいた。「ご苦労様」とお礼を言った。

   アカバナノワレモコウが見られた。これは
  夏も終わり、秋の花だ。

   何とこの標高差200mほどのところに、
  ツクシからワレモコウまで咲いているのだ。
 
    キンコウカ
       かなりの長い間、木道が続く。かなり暑い。
    何しろ日差しを遮るものがなく、汗をかいて
    水を飲み、また汗をかく。

     花園三角点を過ぎるころからみんなに疲労
    が出てきた。たつさんは2万5千分の一の地
    図を出して行く手の様子を伝える。白高地沢
    出合いまでどのくらいで、急斜面の下りはど
    のくらいだ、とか。
 
     再び樹林帯に入って、ヤマアジサイの薄い
    ブルーがきれいだ。タマガワホトトギスもた
    くさん咲いていた。

     11時過ぎに白高地沢出合いに着いた。
  アカバナワレモコウ  
 
   ヤマアジサイ タマガワホトトギス
 
     ここで昼食。最後のキュウリとトマトを沢につけて冷やし、みんなで食べる。

     ここから橋を渡ってさらに下るが、蓮華温泉ロッジの赤い屋根が上の方に見えるようになって
    みんながっかりする。

     瀬戸川で橋を渡って、150mほどの急な登りとなる。このころから雨が落ちてきた。大した
    雨でもなく、にわか雨なのでそのままレインウエアも着ずにゆっくり上る。

     兵馬ノ平に着いた頃には雨は上がった。ここの湿地帯の花も壮観だ!! オオギボウシ、シモ
    ツケソウ、オタカラコウなどが一面に咲き乱れている。
   
   
  兵馬ノ平のお花畑
 

 


     最後の樹林帯にはアリドオシランやツルアリドオシが咲いていた。ここを少し登って、
    蓮華温泉キャンプ場が見え、その先の林道を歩いて蓮華温泉ロッジに到着した。

     Sさんが、「今まで行った山の中でもこのコースはベスト3に入るね。」と言っていた
    けど、同感だ。

     素晴らしい3日間だった。よく歩いた34キロだった。それにしても今日のルートの花
    の競演には感動した!!


   朝日小屋 5:28  朝日岳 6:32  吹上のコル 7:10  五輪の森 8:47

   花園三角点 9:45  白高地沢出合い 11:10  瀬戸川吊り橋 12:48

   兵馬ノ平 13:40  蓮華温泉 14:47


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