朝日岳


                         2012年10月3日〜4日


  今年の紅葉は朝日岳と春から決めていた。
 4年前に出版された「最新版週刊日本百名山」で小朝日岳南面の見事な紅葉の写真を見て、朝日
岳に行ってあの景色を見てみたいと思っていた。おそらく何年に一度という紅葉の当たり年だった
かもしれず、また紅葉の進み具合と天気とをじっと待って撮れた写真だと思うが、同じ光景が見れ
るかもしれないと期待してしまうのが単純なところか。ともかく山頂付近の紅葉を見るのが一番の
目的である。

  家から麓まで車で一日がかりであり、千葉出発の朝も天気を確認して3日、4日は大丈夫と確信した。
  今年は8月終盤から9月一杯まで暑い日が続いたこともあり、紅葉は遅れ気味で、現に北海道は10日くら
 い平年より遅れている。出発の時期をだいぶ迷ったが、ヤマレコの9月29日の朝日岳山頂付近の写真を見て
 紅葉は大丈夫と判断し出かけることにした。
  ところが2日は麓では夕方まで雨。2日夜のウェザーニュースの地元天気は翌日は終日雨。3日朝になって
 それが終日曇りになった。

   〈第1日〉  
     起きてみると曇りだった。コンビニで今日
  のお昼を買い、古寺鉱泉を目指す。

   朝日町の泊まったところからは約23キロ
  で50分ほどで着いた。朝日川沿いの道は幅
  が狭いが途中から大規模林道に入ると道幅が
  広くなる。でも最後まで舗装された道なので
  ありがたい。

   駐車場には15、6台が停まっていた。

   支度をして出発。古寺鉱泉朝陽館の横から
  登山道となり、古寺川の脇を歩いて尾根に向
  かう。

    古寺川沿いから歩き始める
       あたりはブナが多く、ジグザグ道を越える
    とすぐ尾根に出る。

     ここからハナヌキ峰の分岐までの道は、と
    ころどころ木の根が出たり、大きな石がある
    ところはあるが、とても歩きやすく、傾斜も
    さほどない道が続く。

    大きなブナとヒメコマツが一緒に成長した「
   合体の樹」というのがあった。

    ここから上は幹も大きいブナ林が続く。

  合体の樹  
       途中から雨がポツリポツリと落ちてくるが
    ほんのわずかな時間で止む。しばらくしてポ
    ツリポツリを繰り返すが、雨具を着るまでに
    はならない。

     あたりはガスがかかっていて何も景色は見
    えない。風は全くなく、湿気が多いので汗が
    噴きだす。
     でも気持ちのよいブナの林だ。

     どこか休むところがないかなと思っていた
    ら、一服清水の水場に着いた。

  ブナ林が続く
      この古寺コースは山頂までの間に水場が
   3箇所あるが、この一服清水と三沢清水に
   は緑のビニールホースがついていてプラス
   チックのバケツに受けている。

    これはどうもいただけない。少し汚れて
   いたり欠けていたりで、折角湧き出ている
   清水が興ざめだ。

    今日は避難小屋泊まりであるから、全く
   急ぐ必要はない。昨日買ったりんごを食べ
   ながら休む。

    歩き始めて10分ほどでハナヌキ峰の分
   岐に着いた。
 
      ここから古寺山へ向かう。ここの道は、
   2.5万図で見るよりは急に感じる。

    また今までの道と違って岩が多い道に変
   わる。そしておそらく雨が降ったときに流
   れができて真ん中部分が相当えぐれている
   こともそう感じる一因だろう。

    少しづつ、色づいてきた木々が見え出す。

    足元には、サンカヨウの黒っぽくなった
   実やマイヅルソウの赤い実、ツルリンドウ
   の赤紫の実が見られた。

  マイヅルソウ 
       古寺山に着く。
    
     ここも眺望はガスのため、ない。

     ここまでで下りの人と数人出会ったが、古
    寺山で一組登りのパーティーに会う。

     少し早いけど、ここでお昼にする。

  ツルリンドウ
      ここまででも、道沿いにオヤマリンドウ
   がところどころで見られた。もうほとんど
   は終わりだが、中にはまだ咲いている株も
   いくつかあった。

    古寺山から少し下って草地が東側にある
   場所にまだ見られるオヤマリンドウがあっ
   た。

    しばらく歩いて稜線になったところに、
   大量のオヤマリンドウがあった。もう枯れ
   ているのが大部分だったが、これの最盛期
   にはそれは見事だったろうと思う多さだっ
   た。

  オヤマリンドウ
      小朝日岳に向かう稜線にも平坦なところ
   があり、おそらく景色が見えればすばらし
   いところだと思う。

    標高は1500mを過ぎており、少しづ
   つ紅葉した木々が増えてきている。でもナ
   ナカマドはまだほとんど夏の葉の色だ。

    明日の天気を期待するしかない。小朝日
   岳もトラバースルートを取り、山頂部は明
   日にする。この先の稜線にも平坦な道があ
   り、岩場にコケモモの赤い実がたくさんつ
   いているところがあった。ここの稜線も気
   持ちがいいだろうな。
    コケモモ
      銀玉水に到着。
    このあたりから少し風が出てきた。霧が
   流れるのがはっきり分かる。

    水場は数メートル下に流れていた。とて
   も冷たい水だ。小屋には水がないためここ
   で明日の朝の分まで確保した。

    ここから石畳が敷いてある階段状の道と
   なる。「神社があるからこうなっているん
   だろうか?」とあーちゃん。しばらく続い
   て普通の道に変わる。神社の祠でもあるん
   だろうと思ったら標識だけだった。

    以前はきっと何か建造物はあったんだろ
   うと思う。
    銀玉水
 
朝日岳神社奥宮
     少し歩いてガスの中に小屋が見えてきた。
     小屋にはもう随分先着の人がいた。

     避難小屋ではあるが、きれいな立派な小屋
    だ。トイレもきれいに使われている。管理人
    さんが、寝る場所と自炊する場所を確保して
    くれる。

     まだ2時過ぎなのでこれからも相当人が来
    るかなと思っていたけど、ボクらのあと来た
    人は2人だった。全部で29人。
     100人の収容らしいが、去年の最盛期は
    110人泊まったらしい。2階に上がる階段
    でも寝てもらったらしい。
     山小屋でこんなにスペースが取れて眠れる
    のは初めてといってよい。

     管理人さんがラジオの天気予報を聞かせて
    くれた。明日の降水確率は午前中0%だそう
    だ。

 
  〈第2日〉
      3時半頃から起き始めた人がいる。日の
   出は5時半だからまだ早い。ただ外は風の
   音がする。4時半頃仕方なく起きる。外を
   見ると一面のガスと強い風。天気予報は外
   れた。

    早い人たちは5時前からヘッデンを着け
   て出発している。今日はご来光は望めない。
    朝食を摂ってもう明るくなった小屋の外
   に出る。強風だ。立ってられないと言うほ
   どではないが。

    とりあえず山頂に行く。この辺りの紅葉
   は、管理人さんに言わせると2日前がピー
   クだったそうだが、まだまだきれいだ。た
   だガスが濃くて見渡せないのが残念だ。
    山頂付近の紅葉その1
       山頂には標識があるだけだった。

     風が強い。標識につかまって立っているの
    が精一杯。写真を撮っただけで離れた。
     少し下へ来ると風は治まってくる。あたり
    の紅葉を眺めながらゆっくり小屋まで降りる。

     晴れていたらさぞかしきれいだろうなとの
    思いは捨てきれないが、待っていたところで
    晴れる見込みもないため、荷物を持って下る。
  山頂付近の紅葉その2  
 
  朝日岳山頂 山頂付近の紅葉その3
 
    チングルマが真っ赤に色づいている。

    標高1700mくらいまでが素晴らしい
   紅葉だった。

    チングルマの紅葉
 
   1770m付近の紅葉  1760m付近の紅葉
 
    それより下は、ハウチワカエデの黄色が目立っていたが、ナナカマドなどはまだ色づきが少ない。

    それでも、赤、黄、緑ときれいな光景も所々で見られた。

   
 
   ハウチワカエデの黄葉  3色の紅葉 
 

 


    帰りは別ルートで大朝日岳を眺めようと思っていたが、全く視界が効かないので、行きと同じ
   ルートで下山する。写真で見た小朝日岳の南斜面は昨日より少し視界は良かったが、紅葉は全然
   だった。

    ハナヌキの分岐で休んでいると、登ってきた夫婦連れが、「小屋でビール売ってました?」と
   いきなり尋ねてくる。「売ってませんでしたよ」 「じゃあ土日以外は持ち上げないんだ。ある
   ときとないときがあるんですよね。でも4本持ってきたから大丈夫です」 
    ほかに少し話をして分かれた。

    あとであーちゃんが、「随分山に登っているけど、小屋でビール売ってましたか、と質問され
   たの初めてだね。」 そう、考えてみれば、関東や甲信越以西の営業小屋ではビールを売ってい
   るのが当たり前だからこんな質問はないだろう。北海道は営業小屋がないからビールは当然自分
   で持っていくのでこういう質問もないよね。その中間の東北の避難小屋には、営業小屋っぽいと
   ころもあるのかな。だからこんな問いかけするのかな。なんて話しながら下山した。
    
    ガスの2日間だったが、きれいな紅葉が見られた。



    駐車場8:13 一服清水9:40  ハナヌキ峰分岐10:00 三沢清水10:35
    古寺山11:08 銀玉水13:15 大朝日小屋14:02

    大朝日小屋5:35 朝日岳山頂5:53 銀玉水6:48 古寺山8:10 ハナヌキ分岐
    9:11 駐車場10:44


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