アポイ岳


                          2010年8月27日


 厚真町と苫小牧の友人を訪ね、渓流釣りを目的に北海道に遊びに行った。一日余裕があったので、
夕張岳に行ってこようと思っていた。千葉を出る前の晩に夕張岳が林道閉鎖になったとの情報に接し
どこに行こうか思案していたが、日帰りで花のありそうな山としてアポイが浮かんだ。
 4年ぶりのアポイ岳である。エゾマツムシソウとチシマセンブリを見ることが目的である。



  今年の北海道は気温は高く、雨は多くで7月8月の特に土日はなかなか山登り日和に恵まれなかっ
 たようだ。特に雨の影響が大きく、林道の通行止め、沢での救援要請、遭難事故などが起こっている。
  たつさんが行っていた4日間は穏やかな晴天に恵まれたものの、大きな川ではにごりや水量の多さ
 が目立った。
  苫小牧からアポイの駐車場までは約170キロ。3台の車が止まっているに過ぎない。この時期、
 また平日でもあるし登山者は少ない。  

      日差しが強そうなので、長袖を着て歩き
  はじめたが、ものの5分も立たないのに汗
  が噴出す。
   気温も高く、風もない。
   帰りに様似の道路をお昼過ぎに走ってい
  たら、気温が30度だった。暑いはずだ。

   はじめはゆっくり登るつもりがこんなに
  汗が出るのではゆっくりでも早くでも変わ
  らないので、いつもの一人歩きペースで登
  ることにした。

   橋を渡り、王子製紙所有の社有林に入る。
   ササ原の両脇にシュムシュノコギリソウ
  とハンゴンソウがあった。

     シュムシュノコギリソウ
        外来種などの侵入を防ぐために設けら
   れた沢の靴洗い場を過ぎてすぐに、オオ
   ヤマサギソウが見られた。

    もう花の時期は終わりに近い状態だが、
   花をつけている株が3つあり、もうすっ
   かり終わっている株もあった。
   この花を見るのははじめてである。

    すぐそばにミヤマウズラ。
    これは4合目くらいまで所々に咲いて
   いる。よく見ると、うずらが飛んでいる
   ような、かわいらしい花だ。ちょうど秋
   にかけての今頃が旬らしい。

 
  オオヤマサギソウ   
 
   5合目の休憩小屋までの道は、ミヤマ
  ウズラはたくさんあったが、それ以外は
  サワオトギリがいくつかあったに過ぎな
  い。

   もう夏も終わりのこの時期、5合目よ
  り上もかなり終わっているだろうなと懸
  念しながら登る。
   
     ミヤマウズラ
     5合目到着。林の中は風が通らなかっ
  たので、ここから涼しいかなと思ったが、
  どうしてどうして、風がほとんどない。

   空には高い雲がかかっていたので、日
  差しは強くなかったけど蒸し暑い。

   さて、どんな花が残っているかと期待
  して歩くと、すぐにチシマセンブリがサ
  サの中に現われた。
  まだ咲いて間もない株ばかり。

   そしてアポイハハコ。もうすっかり花
  は咲き終わっているがそのまま残ってい
  る。そしてキンロバイ。まだ咲いている
  花が山頂までにずいぶんあった。

 
 
   アポイハハコ
      馬の背あたりでは、チシマセンブリ
   がたくさん咲いている。ちょうど見ご
   ろだ。その先にも道の両側に、これだ
   けの数が咲いているとは思わなかった。

    チャボヤマハギも見られた。

    ハクサンシャジンがいくつか、モイ
   ワシャジンも二株見られた。

    イブキジャコウソウのまだ花がつい
   ているのが草の陰に見られた。

    
   チシマセンブリ  
 
  ハクサンシャジン  モイワシャジン
 
   今日は高い雲があって日差しが柔らかく、霧も出ていないため様似海岸が良く見える。

   オヤマソバも残っていた。
    
   またウメバチソウも咲きはじめのきれいな株が多かった。
    
   ホソバトウキもいくつか見られたが花はもうつけていなかった。
 
 

 

  キンロバイ 様似の海岸線
   
  オヤマソバ  ミヤマワレモコウ
      頂上への登りにかかると、エゾマ
   ツムシソがいくつか見られた。まだ
   蕾を持っている株もいくつかあり、
   咲いている花はとてもきれいだ。

    ミヤマワレモコウもまだ旬。

    エゾシオガマはもうほとんど終わ
   りの花が多かった。
   


    エゾマツムシソウ
 
  ウメバチソウ エゾシオガマ
        きれいなダイモンジソウも見られた。
    ダイモンジソウは岩陰などに何株か見
   られたがほとんど終わりに近い株ばかり
   だった。
   
    さらに登山道の岩の陰にアポイマンテ
   マが数株まだ残っていた。もう終わって
   いるものと思っていただけに嬉しかった。
  ダイモンジソウ
 
     そして、山頂までで見た最後の花は
   ヒダカトウヒレンだった。

    まだ旬のものが二株見られた。


  アポイマンテマ ヒダカトウヒレン

   今回、急遽アポイに行ったことは大正解だった。

  特に見たかったエゾマツムシソウは6年ぶりであった
 が、以前見たときよりとても爽やかな印象を受けた。

  また、チシマセンブリがたくさん咲いていたのには驚
 いた。

  この時期、どこにでもある秋の花、リンドウ類を見か
 けなかった。あとで調べてみると、ツルリンドウはある
 らしいが、これは林の中であろう。5合目から上に咲く
 花の中にリンドウはないようだ。『アポイリンドウ』な
 るものがあってもよさそうに思うが・・・・。

  いずれにしてもこの山は5月から9月初旬までいろい
 ろな花が楽しめる素晴らしい山であることを再確認させ
 られた一日だった。
 
 
   

  登山口7:46 五合目休憩小屋8:48 馬の背9:25 山頂10:03  登山口12:10

    


トップに戻る  山の花の道に戻る