赤岳、北海岳、黒岳


                         2011年8月20日


 この時期に表大雪に行くのは初めてである。表大雪の山は6月下旬から8月上旬と9月の紅葉の
時期にしか今まで登っていない。今回は特にクモイリンドウを見ることが一番の目的である。


  レンタカーを層雲峡の駐車場において、銀泉台までバスで行き、赤岳から白雲分岐、北海岳、
 黒岳を回って層雲峡に戻ってくるコースを選択した。
  クモイリンドウが白雲分岐付近に見られなかったら、白雲避難小屋に一泊することも想定して
 いた。6時発のバスには層雲峡から10人ほどが乗っていた。

      銀泉台ヒュッテのあったところは更地
  になっており、近くのベンチで軽い朝食
  にしてトイレを借り、水を補給して出発。

   天気は雲は多いものの晴れ間もあり、
  まずまず。多分崩れはしないだろうとの
  予想でスタートする。風はない。

   赤岳登山口から紅葉の撮影スポットを
  過ぎると、ウメバチソウやミヤマアキノ
  キリンソウ、コバノイチヤクソウ、ヤマ
  ハハコ、コモチミミコウモリなど晩夏の
  花がこのあたりの主流だ。

   そこを越えた第一花園までの沢筋には
  もう雪はなく夏道だった。

   第一花園も雪はない。それでもこの時
  期にウサギギク、エゾヒメクワガタ、ヨ
  ツバシオガマが咲いており、タカネトウ
  ウチソウやミヤマリンドウも見られる。

   ハクサンボウフウが斜面一杯に広がっ
  ていた。
    コモチミミコウモリ
 
    第一花園から第一雪渓に行く道には、
   水は流れていなく乾いていた。

    ここにまだマルバシモツケが花を咲か
   せていた。

    第一雪渓はまだ少し雪が残っていた。

    したがって少し前まで雪があったとこ
   ろにはエゾコザクラが咲いていた。

    「この時期でもまだ雪が残っているん
   だね。」とあーちゃん。「大雪は何時来
   てもどこかで初夏からその時期の花すべ
   てが見られるよね。」
  マルバシモツケ  
 
  第一雪渓下部  エゾコザクラ 
 
    第二花園、奥の平の標識があるが、ここ
   はまだ雪が解けてそんなに経っていないの
   か、道の左右は雪田性の花で満開だ。

    アオノツガザクラ、エゾツガザクラ、チ
   ングルマ、ウサギギク、タカネトウウチソ
   ウ、ヨツバシオガマ、ハクサンボウフウ、
   エゾヒメクワガタ、ウメバチソウなどなど
   が咲いている。

    また、晩夏の花、イワギキョウもきれい
   に咲いていた。

  アオノツガザクラ
 
  チングルマ イワギキョウ
      コマクサ平のコマクサはもうほとんど
   が終わり。わずかに残りの花が、ウスバ
   キチョウにも食べられずについているに
   過ぎない。

    第三雪渓へ至る道には、クロマメノキ
   やガンコウラン、コケモモ、ナナカマド
   の実がなっていて夏の終わりを感じさせ
   る。

    第三雪渓はすべて夏道。

    下のほうはタカネトウウチソウ、ハク
   サンボウフウ、ヨツバシオガマ、エゾヒ
   メクワガタのオンパレード。

    上に行くにつれて、アオノツガザクラ、
   エゾコザクラ、チングルマ、イワギキョ
   ウが咲いていた。
    第三雪渓下部のお花畑
 
  ヨツバシオガマ  タカネトウウチソウ 
 
  エゾヒメクワガタ  エゾツガザクラ 
 
    第四雪渓もすべて夏道。

    ここは道の右側で、エゾノサワアザミ
   のピンク、ミヤマアキノキリンソウの黄
   色、タカネトウウチソウの白が咲き乱れ
   てとてもきれいだ。

    他にも、ハイオトギリ、エゾヒメクワ
   ガタ、ウサギギク、ウメバチソウ、ハク
   サンボウフウ、ヨツバシオガマ、アオノ
   ツガザクラと初夏から晩夏の花が咲き乱
   れている。

    赤岳手前には、チシマツガザクラの残
   り花がほんの少しあった。
 
 
    エゾノサワアザミ 
 
  ハイオトギリ チシマツガザクラ
 
   赤岳に到着。
   この頃には空は一面雲に覆われていた。ここで小休止。
   黒岳や烏帽子岳、桂月、凌雲、お鉢も十分見渡せて大雪の景色を堪能する。

   その間、あたりを歩いていてクモイリンドウが咲いているのを確認した。「これなら白雲分岐ま
  での間にクモイリンドウがあるはずだ!」とたつさんは考え、ここで白雲泊を変更し、黒岳まで行
  くことにした。
 
      小泉分岐付近までは、ところどころに
   クモイリンドウが見られるが、大きな株
   はない。

    ほかには花は見られなかった。

    白雲分岐に近づいて、クモイリンドウ
   の花が少し増えてきている。また、リシ
   リリンドウの残り花も見られた。
     クモイリンドウ
      ここから北海岳方面を歩くのは、04
   年以来だ。特に01年7月中旬に歩いた
   時は、ここのキバナシャクナゲの群落、
   北海岳の途中のアオツガ、エゾツガの大
   群落、イワヒゲの群落にはびっくりし感
   動したものだった。

    ところが今回、チシマクモマグサの大
   群落に偶然にも出会った。

    分岐から少し下ったところに大きな雪
   渓がある。花の沢上部の雪渓だ。今の時
   期はだいぶ消えており、消えた後には黄
   緑色のコケがきれいな絨毯になっている。
   そして周りのガレ場にそれこそものすご
   い量のチシマクモマグサが咲いていた。

    「すごいね!この景色!」とあーちゃ
   ん。たつさんも言葉が出ない。道から斜
   面の上のほうがすごい!
    また道の脇にも大きな株があった。

 
    チシマクモマグサ 
   
  チシマクモマグサの群落 
 

    しばらく眺めていて歩き出した草地
   にヨコヤマリンドウがあった。この花
   は条件が良くないと開かないそうだが、
   もちろんこの日は曇っているし花は閉
   じたまま。でも10株ほどはあった。

    北海岳への鞍部付近で雨が降り出し
   た。旭岳方向はやや黒い雲に覆われて
   いる。たいした降りではないがレイン
   ウェアを着る。

    北海岳に到着。幸い雨はやんでくれ
   た。

  ヨコヤマリンドウ
 
    北海岳のベンチで休んで、黒岳へ向か
   う。

    北海沢を渡る付近の雪渓もだいぶ小さ
   くなって入るが沢の左岸は大きな雪の壁
   みたいになっている。このあたりの雪解
   けあとに、エゾコザクラやミヤマキンバ
   イなどが咲いていた。

    赤石川を渡って石室までの道にはもう
   花はほとんどなかった。

    黒岳石室に到着。近くでエゾオヤマリ
   ンドウが咲いていた。
  エゾオヤマリンドウ
      黒岳山頂付近はイワギキョウが少しあ
   るだけで、もう花は終わっていた。

    山頂から7合目まではまだたくさんの
   花が見られた。石室から山頂までと山頂
   から7合目までとは植生が随分と違う。
   疲れているときはここを降りるのは結構
   時間がかかる気がするが、それでもここ
   では疲れを癒してくれる花がある。

    ヤマハハコ、ホソバトリカブト、ウメ
   バチソウ、イワギキョウ、チシマノキン
   バイソウ、ナガバキタアザミなどなど。

    エゾホソバトリカブト
 

 


    16:20発のロープウェイに乗って層雲峡に着いた。

    この時期でも場所によって初夏の花を楽しめたし、お目当てのクモイリンドウにも会えた。

    また花の沢上部の雪渓あとに咲いていたチシマクモマグサの群落は見事だった。

    今日も一日楽しく遊ばせてもらった。



    銀泉台7:20  第一花園8:02  奥の平8:40  第三雪渓上部9:40 赤岳
    
    10:22  白雲分岐11:11  北海岳12:25  黒岳石室13:56  黒岳
 
    14:38  7合目15:42


    

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